<ニュージーランド農業研修活動報告書>
08.03.24 酪農 男性Ⅰ 農業研修日程表
研修期間:2007年4月~2008年2月
Ⅱ 研修農場一覧表
| 農場内訳 | 規模 | 場所 | 生産している物 | 主な作業 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 有機野菜・果物農家 (無給) |
7ha | 北島 Auckland 地方 Waimauku |
葉菜、果菜、根菜、キーウィフルーツ、梨などの果樹 | 全般的(苗作り、植付、雑草取り、収穫、箱詰め等) |
| 2 | みかん農家 (有給・出来高制) |
30ha | 北島 Auckland 地方 Warkworth |
みかん (品種:Satsuma、Miho) |
収穫作業→剪定作業 |
| 間引き作業 | |||||
| 3 | ズッキーニ農家 (有給・時給制) |
15ha | 北島 Kerikeri 地方 Waipapa |
ズッキーニ、カモカモ | 収穫作業、選別・箱詰め作業 |
| 4 | 有機野菜・果物農家 (無給) |
5ha | 南島 Nelson 地方 Hope |
葉菜、果菜、根菜、梨、リンゴなどの果樹 | 作業全般 (収穫作業、管理作業、マーケットでの手伝等) |
Ⅲ 各農場での研修について
(1) 有機野菜・果物農家
7haの土地で年間45種類以上の野菜・果物を生産していた。家族経営の有機農家で、首都オークランド中心部から車で40分ほどの距離に位置する。インターネット・FAX・電話等で顧客から直接注文を受け、週二回宅配サービスを行っている。農場で採れた野菜と果物の他に、それ以外の野菜・果物を卸売り業者・個人の農家から仕入れ、各顧客のオーダーに従ったパック詰めを行っている。また、週三回敷地内の倉庫で直売、不定期で卸売業者への出荷も行っている。パートタイムで2人を雇っており、それぞれ週2日と3日働きに来ていた。
25年前から有機栽培を始め、キウイフルーツ農家から徐々にシフトし、10年程前からホームページ開設ホームデリバリーサービスを開始した。ニュージーランド初めての有機認証制度Bio-agroの設立と同時期に有機農業を始めたため、現場の声としてその認証の規定作り等にも関わった。
典型的な栽培法を行い、奇をてらったようなことはしていなかった。コンポスト・フィッシュミール・海草・自然の緑肥(雑草)、休閑地などで、畑の土作りを行っていた。小さな川が敷地の中にあり、豊かな土壌であった。
季節の野菜を作り、ブロッコリー・カリフラワー・キャベツなどのアブラナ科野菜は播種・植付け期を分け、収穫時期をずらし長く出荷できるように工夫をしていた。
栽培管理の中で最も力を入れていて、かつ一番の問題だったのは雑草管理だった。
研修内容
作業の中心は週二回のデリバリー用の野菜・果物の収穫と箱詰め作業であった。その他には、除草と、苗の移植や植付け、季節の管理作業(キゥイフルーツの剪定、トマトの誘引など)、資材の後片付けなどをした。作業時間は朝8時から夕方5時までであった。宿泊施設と生活
キッチンのついている離れで一人暮らしをした。農場で作っている野菜と果物、仕入れている野菜、果物、食材は自由に頂くことができた。また、必要なものがあれば、買ってくれた。作業が終わってから、その日の夕飯に食べる野菜を収穫することが楽しみであった。野菜が本当においしくて、有機野菜の良さを日々の生活を通じて感じることができた。最初の研修先ということもあって離れでの暮らしは、はじめは寂しかったが、慣れたら快適だった。パーティーやヨットレースなどにも連れていってくれたので、ニュージーランドの文化にも触れる機会が多くて良かった。
農場の景色
顧客の注文に従って野菜をつめた宅配用ボックス
自宅倉庫でのショップ
(2) みかん農家
広さ30haでSatsumaとMihoの2品種のみかんを国内市場むけに生産していた。オーナーは果樹園の管理にはほとんど関わっておらず、常駐のマネージャー2人で管理を行っていた。収穫(5~7月)・剪定(8月)・摘果(若い実の間引き)(1月)作業期は季節労働者を雇っていた。収穫作業は最も多い時期で70人、剪定は40人、摘果は30人程度で行っていた。トラクターでの作業等、必要に応じコントラクターを雇っていた。歩合制なので、朝の作業開始(7時半~8時)から終了の夕方(4時ごろ)まで労働者は必死に働く。昼食は畑の中で食べ、ほとんどの働き手はその時間のみが休憩時間であった。歩合制で稼ぐことは大変厳しくもあった。しかし、仕事の量が多い分多く稼ぐことができるという分かりやすい目標がある環境の中、労働者同士にも適度なライバル意識が生まれることで、活気のある良い雰囲気で働くことができた。スーパーバイザーが収穫されたみかんの品質、作業の質を管理していた。
季節労働の紹介・派遣会社を通し、働き手は主に韓国・日本・台湾・マレーシアからであった。多くはないが、フィジーなどのポリネシアの島々、ヨーロッパからの人々もいた。5年ほど前までは、ニュージーランドの人を主に雇っていたが、アジアから人を雇った方が作業効率が良いということで、近年はニュージーランドの人を季節労働者として雇っていないとのことだった。
みかん畑の景色と摘果作業のチェックをする
スーパーバイザー
マネージャー、作業のパートナーと
研修内容
ペアを組み、収穫・剪定・摘果作業をした。それぞれの作業を初めてする時は、マネージャーもしくはスーパーバイザーが指導をしてくれた。宿泊施設と生活
宿泊施設
キャビンとキャラバン
スーパーが車で30分くらいの所にあり、車を持っている人に週に一度みんなで乗り合わせて食材など生活必需品を買いにいった。
景色がとてもきれいで、入り江の中のとてもおだやかな海がすぐ側にあり、朝日が昇り夕日が沈むのを毎日眺めながら、とても豊かな気持ちになることができた。夏は作業が終わってから、海でひと泳ぎすることもしばしばあった。
(3) ズッキーニ農家
夫婦とその娘夫婦の2世代での家族経営で15haの畑でズッキーニを国内向けに生産していた。海外からワーキングホリデーに来ている人たちを雇い、収穫・選別・箱詰め作業を行っていた。ズッキーニ畑の他にも100km離れた所に50haの畑を持ち、そこではスイカ、カボチャ、肉牛などを生産していたようだ。住宅がある敷地も畑が2haほどあり、スイートコーンや小規模に豆や葉菜、ナスなどを作っていた。ズッキーニは主に市場に出荷されるが、農場の入り口で小さな八百屋を開き、他の畑で取れた野菜と共に直売もしていた。研修内容
収穫作業を主に行い、必要に応じ選別・箱詰めの作業をした。ズッキーニの成長は早く、1日でも採らないと収穫に適したサイズを過ぎてしまうので、全ての畑から収穫しなければならない。そのため、ズッキーニがよく採れる時期は作業時間も長くなった。作業時間は、普段は朝8時から夕方5時まで、最も長い日が朝の7時半から夜の7時半までであった。とても忙しく、1カ月間1日も休まず働いた。宿泊施設と生活
オーナーの家と同じ敷地にある家で日本人3人と一緒に生活した。家は、普通の家族向けの家と同じで、かなり快適であった。オーブンがあったので、仕事が早めに終わった日はクッキー、パン、ケーキなどを焼いて楽しんだ。毎日へとへとで帰って、その後みんなで晩ご飯を食べながら話をすることで、リラックスでき、肉体的にハードな日々とのバランスをとることができたのだと思う。
ズッキーニ収穫の様子
一緒に働いた仲間たち
(4) 有機野菜・果物農家
BrentとパートナーのKevenが5haの畑で様々な種類の野菜と梨・リンゴなどの果物を生産する有機農場。2棟のビニールハウスと露地で生産していた。WWOOFのホストであり、年にたくさんの旅人を受け入れている人気のある農場であった。WWOOFとは有機農家や宿泊施設などが人を受け入れ、労働力を得る代わりに無償で宿と食料を提供するというホームステイ、旅の仕方の形の一つである。週に1度、車で30分ほどの距離にある町ネルソンのマーケットに出店していた。これが最も大きな収入源とのことだった。そのほかにも、スーパーマーケットとレストランにも週1回出荷していた。
より良いものを生産するために、様々な試みを行なっていた。木のチップと羊の血を混ぜて作ったコンポスト、ムール貝の貝殻などを土作りのために利用していた。また、土壌中の菌を活性化させるために、蜜液を2週間に1度畑に散布していた。私がいた時期は調度リンゴと梨の収穫直前の時期で、微生物農薬(果樹の害虫に感染するウイルス)、カルシウム、糖を独自の配合で混ぜ、木に散布していた。大変勉強になり、滞在期間の二週間ではとても足りなかった。
お茶の時間
さまざまな工夫と試み
研修内容
私が行った作業は、主に収穫作業(サヤインゲン、トマト、ホウレンソウ、ニンジン、バジル、ニンニク、ズッキーニなど)と雑草とりで、トマトの芽かきやマーケット出店用の準備などもした。土曜には、マーケットに一緒に行き、開閉店作業や会計をした。労働時間は4時間というWWOOFの規定があり、基本的には12時半に作業は終了した。
宿泊施設と生活
農場の敷地内にある築70年の木の家で生活した。同じ時期に台湾の男性も滞在していて、2人で生活を行なった。トイレがコンポストトイレで、用を足した後、木のチップを上に播いて蓋を閉めるというとてもシンプルでしかもあまり臭くなく快適だった。農場という土に戻しやすい環境には、とても適するトイレだと思う。作業が終わった後は、近くの川に泳ぎに行く、散歩や読書、手紙を書くなどと自由な時間を楽しむことができ、ニュージーランド・ネルソンの良さを十分に味わうことができた。
農場の景色
土曜日のマーケット
全体を通じて
ニュージーランドは食料輸出国であるが、海外からの労働者なしには、成り立つことができない労働力輸入国であった。また、国や公共団体からの補助といったものが、ほとんど無いので何か問題点があったとしても、国に対して愚痴は言わないということが、日本との違いだと思う。ニュージーランドの農家は補助がない分、厳しい部分も多いが、とても独立していると感じた。
後継者不足など日本と共通した問題点もあった。また、地価の高騰が新規就農の足止めとなっているようだった。
日本ではこの問題はどうなっているのだろう?この作物はどういう風に栽培されているのだろう?など、逆に日本について知らなかったことも多かったので、それらについて明らかにしていきたい。
実際に輸出をしている農家で研修ができなかったことが非常に残念だった。しかし、輸出農家や、そこで季節労働をした人、選別・出荷工場で働いていた人達と話すことから、情報や職場の雰囲気を知ることはできた。
ニュージーランドに行って、そこで暮らして、ニュージーランドを知っていくことを通じて、日本を違う視点から見ることができた。テレビや本、映画などで外国という世界を毎日目にしてはいるが、初めて自分に身近なものとして感じることができた。世界で共通して起こっている流れや、世界の中の日本の位置というものがわかるようになった。以前より視野が広がったと思う。
