頑張ってます!新規就農者

島牧村

高付加価値農業を実現  🍅トマト 🥤トマトジュース

「ミネラルたっぷりの「潮風のトマト」で高付加価値農業を実現」~豊富な人生経験と人脈を活かし、販路と外国人ボランティア(ウーフ)を確保。有機・無農薬栽培を実践~

[Kさん(47歳) 平成29年4月就農 島牧村]
(取材:令和元年8月1日SH記 協力:島牧村地域担い手育成センター)

地域の概要

 島牧村は、北海道後志管内の西端に位置し、北西部は日本海に面し、道南の最高峰狩場山の裾野に広がる、人口約1,500人の漁業を基幹産業とする村です。 
 村の大部分を占める森林の中には10,700haを有するブナ原生林があり、その懐には落差70m、幅35mの「日本の滝100選」に選ばれた「賀老の滝」が有名で、訪れる観光客を楽しませています。現在、「島牧が島牧であるために資源を守り、生かし、育む村づくり」を推進しています。
 農業は、農家戸数が42戸(H27)、作物は水稲、そば、アスパラが栽培されています。島牧村には農協がないので、農業者で組織する㈱島牧農業振興会が農業生産物の生産販売等に対応しています。
 新規就農希望者が島牧村へ移住して、新たに農業で自立しようとする意欲と能力を有すると認められる人に各種支援策を用意しています。

動機から就農まで

 福岡県出身のKさんは、20代の頃ニセコ町に住む友人のスノーボード製造会社を手伝い、北海道の自然に魅了された。その後しばらくして奥さんの実家(寿都町)の会社を3年程度手伝ったが、自分でなにかをやりたいと考え平成24年に寿都町で法人を起業した。道内の農産物の販売、農地10aを賃借しミニトマト等を栽培し、ドライトマト等を製造販売。すっかりトマト生産の面白さにはまってしまった。台風の被害が少ない就農地を探していたところ、島牧村の農家の方に現在の農地を紹介された。
 島牧村に就農地を決めたのは、風の影響を受けにくく、枯れない水源があり、海と山に近く、無農薬栽培が可能だったこと。そして島牧農業振興会が就農をサポートしてくれたことが大きかった。
 販路は今までの人脈を活用して就農するまでに確保。海に近い特色を出すため海草・海水を使っている。農薬・化学肥料は使わない栽培で収穫量は少ないが、美味しい「潮風のトマト」が生産できた。
 就農後苦労したことは、十分な自己資金を用意していなかったので、資金繰りと中古のパイプハウスの取得、下層に石が多いために作土が薄くトマトの栽培技術の確立、そして子育てに苦労した。
 農繁期の労働力確保のために、外国人ボランティアの「ウーフ」を活用している。外国人と一緒に作業してみると自分達には見えない島牧村の良さを再認識させてくれた。

経営規模

経営面積:1.0ha(農地賃借)
栽培作目 ミニトマト(60%)、中玉トマト(40%) 計70a
農業機械・施設:耕運機1台、中古パイプハウス15棟      
労働力:本人、妻、外国人ボランティア(ウーフ:農業体験NGO)
販売先: 道内外の業者を通じてデパートなどで販売。
    トマトジュース(糖度12)は海外にも販売している。

就農支援制度の活用

・就農時に島牧村の就農支援策を活用。

後輩へのアドバイス

 まず、将来どんな農業がやりたいのか、就農前にある程度決めてから就農地、農業研修先を決めることが重要。
農業以外の生きがいとなる趣味を持つと生活が豊かになる。島牧村は自然環境に恵まれているので、自然が好きで自然環境を楽しむ人が向いている。

 島牧村のトマト栽培に興味のある方は、気軽にお問い合わせください。
 URL: https://www.drytomato.com/

今後の経営の方向性

 収入面でまだ厳しいので、栽培面積を増やし規模拡大を目指したい。露地野菜(アスパラ等)、果樹(プルーン等)の栽培の可能性について検討中。

雑 感

 Kさんは、冬期間に全国各地で仕事した経験を活かして、販路や人脈を広げ、外国人ボランティア「ウーフ」という新しい取り組みで労働力不足を解消するなど新規就農者としては、全く新しい発想で営農している。
 中古パイプハウスや農地賃借して初期投資を抑え、資金等の借り入れをせず必要最小限の設備・機械で就農した点が評価できる。ミニトマト「プリマドロップ」という品種を栽培仲間と商標登録、一粒試食したが糖度が高く非常に美味しいミニトマト。海のミネラルたっぷりの「潮風のトマト」を有機・無農薬で栽培することにより高い付加価値をつけて販売している。新規就農を目指す研修生の受け入れにも積極的で、ホームページ等で「潮風のトマト」の魅力を世界に発信している。

写真

上左:Kさんのミニトマト、上右:栽培ハウスの外観
下:潮風のトマトジュース