酪農法人従業員から独立就農へ 🐮酪農
酪農法人に就職し、奥さんと出会い新規就農を果たした標茶町のOさんを紹介します。
[Oさん(37歳) 平成29年4月就農 標茶町]
(取材:令和2年9月15日YK記 協力:標茶町)
地域の概要
標茶町は、北海道の東部に位置し、南東部に釧路湿原国立公園の湿地帯が広がり、北部に阿寒摩周国立公園を望む、平地と丘陵が続く自然豊かな街です。面積は全国6位で東京都の約半分の広さに当たる大きな町です。気候は、春から初夏にかけては冷涼で、夏は日照時間が短いが最高気温が30度にとどく時期があります。秋は比較的晴天が続き、冬は積雪が少ないが寒さが厳しい、夏暑く冬寒いやや内陸的な気候です。
釧路湿原で最も大きな湖、塘路湖を中心に観光開発が進み、カヌー体験や、釧路本線のトロッコ列車「くしろ湿原ノロッコ号」など、湿原を訪れる観光客でにぎわいます。
標茶町の基幹産業である農業は、広大な土地を生かした、大型酪農経営や畜産が営まれ、乳牛は約4万5千頭、肉牛は約1万6千頭が飼育されています。
平成25年に研修牧場「(株)TACSしべちゃ」、平成27年に新規就農者宿泊研修施設「しべちゃ農楽校」が開設し、ご夫婦で新規就農を目指す方、一人で酪農に係りたい方それぞれの支援体制が用意され、研修から就農、就農後のサポートまで地域一丸となって支援しています。
動機から就農まで
Oさんは、道北の美瑛町出身で、ご両親は酪農を経営されていましたが、中学生の時に経営をやめられました。子供の時に見ていた酪農への思いもあり「酪農で生きていこう」と、大学卒業後、地元の大型酪農法人に従業員として就職し、同じ牧場で働く奥さんと出会いご結婚されました。
奥さんは、京都府出身。動物が好きで、動物に係る仕事をインターネットで探していると、Oさんが働いていた酪農法人が、従業員が多いなど自分が求めていた条件に合い就職を決めました。
Oさんは、9年間大型酪農法人で乳牛の管理、圃場管理に係る色々な仕事を経験することが出来ました。いずれは経営者サイドとの思いがありましたが、先輩が多くまだまだ経験と時間が必要と判断し、奥さんと相談して十勝の中規模な牧場に転職しました。
新たな牧場では、経営者として必要な様々な仕事を経験することが出来、自分の牧場を持ちたいという思いが強くなりました。農業公社へ就農相談をしたところ標茶町を紹介され、2年半務めた牧場を退職して、研修牧場「(株)TACSしべちゃ」で研修を開始しました。
タイミングよく、町内で経営移譲を希望している牧場を紹介され、(株)TACSしべちゃでの半年間の研修後1年間移譲希望牧場で研修し、居ぬきという形で平成29年に就農することが出来ました。
経営移譲された方は、住宅を市街へ移しOさんは住宅を譲り受け、就農後も親しく付き合いが続いています。経営を移譲された方の思いを心にとめ、夫婦2人でできる経営形態を築き、自分も酪農を始めたいという方に経営をバトン出来ればと考えています。
経営規模
・労働力は本人と奥さんの2人
・飼養頭数は経産牛50頭、育成牛35頭
・経営面積60ha(内放牧5ha、コーン15ha)
・施設は繋ぎ牛舎、堆肥舎、D型倉庫
・機械はトラクター4台、ワンマンハーベスター、アグバック他作業機一式
経営の特徴
・コントラを利用し飼料用トウモロコシをサイレージ調製
・グラスサイレージは、一人で調製できるよう作業体系を工夫
・TMRを製造、給餌器で給与
・放牧利用
経営目標
・快適な環境で健康な牛づくり
・将来はフリーストールで経産牛頭数100頭
・集荷乳量1000t
就農支援制度の活用
・農業次世代人材投資資金(準備型・経営開始型)
・青年等就農資金
・農地保有合理化事業
後輩へのアドバイス
・体験、研修を通じ経験を積み、しっかりと技術を身に着ける
・就農がゴールではない、スタートです。