頑張ってます!新規就農者

浜頓別町

★浜頓別町 Sさん

酪農ヘルパーをしていた奥さんと出会い、新規就農を果たした浜頓別町のSさんを紹介します。

[Sさん(29歳) 平成29年1月就農 浜頓別町]
(取材:令和3年10月28日YK記 協力:浜頓別町)

地域の概要

 浜頓別町は日本最北の宗谷地方東部に位置し、酪農と漁業を基幹産業とした町です。町内にはラムサール条約に登録されたクッチャロ湖があり、日本とロシアを渡る水鳥の重要な中継地で、白鳥をはじめ約300種の野鳥が記録されています。特に春と秋の渡りの季節に数千羽のコハクチョウと数万羽のカモ類が観察できます。冬には天然記念物のオジロワシやオオワシの姿も見られます。
 酪農では広大な土地を利用した共同経営による大規模経営から、放牧を利用した家族経営と多様な経営が営まれています。
 町内には、酪農家が「ゆめ酪農育てる会」を組織し、酪農に興味がある体験者や研修生を受け入れ、新規就農された方や、酪農ヘルパーとして活躍される方が多くいます。また、町の担い手育成センターが中心となり、後継者のいない経営者の技術や農場を意欲ある第三者に引き継ごうと、「お疲れ様登録銀行」を制度化し、新規参入者の受け入れから就農後のサポートまで地域一丸となって支援しています。

動機から就農まで

 Sさんは静岡県出身で東京の大学に在学中、北海道にあこがれ礼文島の宿でアルバイトをしているときに、宿を訪れた奥さんと出会いました。奥さんは道内の大学を卒業し、酪農での就農を目指して宗谷管内で酪農ヘルパーとして働きながら、就農する場所と一緒に酪農を始めるパートナーを探していました。奥さんの酪農への熱い思いを聞き、全く関心がなかった酪農に興味を持つようになったそうです。
 東京に戻ったSさんは、北海道へのあこがれと、酪農への興味から、奥さんを頼りに宗谷管内でフリーのヘルパーとして働き、酪農を体験しました。自然豊かな宗谷での生活と、酪農への魅力を感じ、大学を中退して奥さんと酪農での就農を目指しました。
 宗谷で酪農をされている奥さんの大学の先輩から、経営の移譲を希望されている現在の農場を紹介されました。自分たちが目指していた放牧酪農をしており、希望していた形態にちかいことから就農場所と決め、1年半の研修を受け経営を譲り受けました。
 現在、就農して4年目となりますが、就農1年目は忙しすぎて精神的にも余裕がなくなることがありましたが、経営者になることは、自分の思うように働け、良いと思ったことを試行錯誤できることがとても楽しく、新規就農したことを実感しています。生活の中に自由な時間を作り、山菜取り、狩猟、釣り、家庭菜園と田舎暮らしを楽しんでいます。

経営規模

・労働力は本人と奥さんの2人
・飼養頭数は搾乳牛40頭、育成牛20頭
・経営面積50ha
・施設は繋ぎ牛舎、堆肥舎、D型倉庫
・機械はトラクター3台、牧草収穫機械一式

経営の特徴

・放牧利用
・グラスサイレージは、ラップサイレージに調製

経営目標

・乳牛は少数精鋭で、牛群の改良により個体能力を高めたい。
・乳牛の各ステージごとの我が家のベストな管理を確立し、健康で長持ちする牛群を作りたい。

就農支援制度の活用

・農業次世代人材投資資金(準備型・経営開始型)
・青年等就農資金
・農地保有合理化事業

後輩へのアドバイス

・就農後は実績がないので、融資を受けるのが難しい。施設や機械で不安があれば就農前に対処したほうがいい。
・就農後は忙しくなるが、心と体の余裕を残し働いてください。家族を大切に。
・自分たちの経営で、自分で判断でき、やりがいを感じられて、自分の働きが増益につながってはじめて、休みがなくてもつらくなくなる。