花の師匠との出会いから 💐花
“はなのまち当別町”で新規就農
~花の師匠との出会いから~
Sさん(39歳) 平成27年4月就農
(取材:令和4年10月26日 YN記、協力:当別町農業総合支援センター)
【地区の農業概要】
当別町は札幌市に隣接し、札幌中心部からJRで約35分、車で45分と通勤・通学圏にある人口約16,000人の町です。明治のはじめに仙台藩一門が入植し約150年となる開拓の歴史を持ち、農業を基幹産業として発展してきました。水稲や小麦・大豆などの畑作物に加え道内屈指の切り花生産額を誇り、特に「ユリ」は北海道一の出荷量・販売額を維持するブランド品目で、「はなのまち当別」の基幹となっています。
【動機から就農まで】
岩見沢市出身のSさんは、農業を営む友人の多くが親世代の経営を引き継ぎ苦労しながらも目標を持つ姿に刺激を受け、自分も農家に挑戦したいと思いました。
高校卒業後、農業資材の配送業務を行う会社で働く中、当別町のユリ農家を訪れ「こんな大きな花があるんだ」と感動。「やる気があるなら、うちでやってみるか?」と声をかけられ会社勤務の傍ら約2年間ユリ農家を手伝い、土づくりなど農業の奥深さを知りました。指導農家の技術の高さや経営の難しさを知り、自分が農家としてやっていけるか悩み、友人からは「やめた方がいい。」と心配されました。
しかし妻に相談して覚悟を決め、夫婦で国の研修資金を利用し2年間の就農研修に入り、平成27年、指導農家の畑の一部を譲り受け、営農をスタートしました。
【就農してから】
1年目の作付規模はハウス十数棟でしたが、2年目から指導農家から申し出があり農場全体となる五十棟規模へ広がりました。このため、義弟夫婦に声をかけ従業員として経営に加わってもらい、現在に至っています。
指導農家から第三者農業経営継承の形で農場を譲り受け、「本当にいい人とめぐりあったと思います。」とSさんは話します。
令和2年に当別花卉生産組合の副組合長に就任し、令和3年から町の農業センターが実施するスマート農業の実証事業(ハウス環境の「見える化」)への協力し測定データとして実際の生育環境を記録し、技術向上に励んでいます。
数年前から作付けしている「いちご(けんたろう)」は二人の子供たちの大好物。公私ともに充実した当別町の暮らしとなっています。
【経営概要】
経営面積:614a (主な施設:ユリ64棟、苺2棟)
栽培品目:ユリ、アスチルベ、芍薬、りんどう、ブラックベリー、木イチゴ、観賞用かぼちゃ、苺、牧草
施設機械:倉庫2棟、花きに関わる機械装備
【就農支援制度の活用】
農業次世代人材投資資金(準備型・経営開始型)
【経営の特徴】
・経営の柱であるユリの切れ間のない出荷体系。
・土づくりのため3種類の緑肥作物を導入。
・露地の枝もの出荷の組み合わせ。
・春先のいちご等、野菜を取り入れ所得確保の拡大。
【後輩へのアドバイス】
・経営開始時は資金面の確保が大事。
・少しでも時間が出来れば、町内外の農作業の仕事で資金を貯める。
・いろいろな作物の作業を経験することは、就農後も役立つ。