子供から「お父さんが農業をやってよかった」 🌾🥔畑作 野菜
第三者経営継承で新規就農を果たした美幌町のYさんを紹介します。
[Yさん(47歳) 平成27年1月就農 美幌町]
(取材:令和4年7月5日YK記 協力:美幌町)
地域の概要
美幌町は北海道の北東部、オホーツク海から30kmほどの内陸に広がる農業を基幹産業とした町です。市街地から車で南東へ20分ほどに「美幌峠」があり、日本最大のカルデラ湖、屈斜路湖を一望でき、遠くに阿寒摩周国立公園や知床連峰が見渡せる景勝地として、多くの観光客が訪れます。
気候は、日照時間が長く、降水量は全国的にも少ない地域です。夏は30℃を超える日もありますが湿度が低く、朝、夕の気温が下がり過ごしやすく、冬は氷点下20℃を下回る日もありますが、比較的晴れる日が多く降雪量は多くはありません。
農業は、小麦、てん菜、馬鈴しょ、豆類を中心とした畑作4品や、玉ねぎ、にんじんの作付けも大規模に行われ、さらにアスパラガスや長芋などの収益性の高い野菜も栽培されています。また、丘陵地域では酪農や肉牛など畜産経営も行われています。意欲ある担い手の確保のため、「美幌みらい農業センター」が中心となり新規就農希望者を受け入れ、実践的な研修を通じ育成を図り、円滑な新規就農を支援しています。また、女性農業体験実習生も積極的に受け入れ、農業・農村への理解を促進しています。
動機から就農まで
外食産業でサラリーマンをしていたYさんは、食材の生産に興味を持ち、自分で作りたいと思うようになりました。農業をはじめるなら大規模な専業経営が多く、台風などの災害が少ない北海道しかないと思い、2011年7月に北海道新規就農フェアに参加しました。
美幌町を紹介され同年9月に「みらい農業センター」で2泊3日の農業体験をし、先輩新規就農者や、就農候補地の農家さんと面談させて頂きました。さらに、美幌町内だけでなく近隣の北見市、網走市なども案内して頂き、生活面でも全く不安なく、とても良い環境だったため移住を決意しました。同年11月に研修生となるため面接を受け、翌年に移住し研修がスタート、北海道での生活が始まりました。
Yさんは、みらい農業センターで2年、「第三者農業経営継承」で経営を譲り受ける農家さんで1年の研修を受け経営を開始しました。就農後は、地域の指導農業士さんや、農協、普及センター、役場など困ったときに相談できるサポート体制が整備されていて助けられました。また、畑で作業をしていると、地域の方たちから気軽に声をかけられ、作業方法などのアドバイスをしてくれます。地域の方たちの暖かさと、人との繋がりの大切さを改めて感じたそうです。
サラリーマンをしていた時には、仕事に追われ、家族との時間を思うように取ることが出来なかったそうですが、就農してからは子供達との時間を大切にすることが出きるようになり、子供さんから「お父さんが農業をやってよかった」と聞かされたときに、農業を選んでよかったと実感されたそうです。現在、小麦、てん菜、馬鈴しょとアスパラを作付けし、地域からの信頼も厚く、てん菜の生産部会長を務め地域のリーダーとして活躍されています。
経営規模
・労働力は本人と奥さんの2人。繁忙期はパートさん雇用。
・作目は秋まき小麦、てん菜、馬鈴しょ、アスパラガス
・経営面積35.5ha
・機械はトラクター5台、作業機一式
経営の特徴
・麦後に、堆肥、緑肥、ライムケーキ、水酸化マグネシウムを散布することで、地力の向上、pHの調整、苦土のレベルを上げ、肥料コストの削減につなげる。
・畑作3品を中心に、冬は伏せ込みアスパラガスを栽培。
経営目標
・経費削減だけでなく、省力化も意識し家族経営で体に負担をかけず、年をとっても農業が出来る体制にするため、少しずつではあるがスマート農業への投資を行う。
・家族経営を基本に、後継者を意識した作付け体系を検討する。
就農支援制度の活用
・農業次世代人材投資資金(準備型・経営開始型)
・青年等就農資金
・農地保有合理化事業
後輩へのアドバイス
・地域には、バックアップしてくれる関係機関、地域の先輩方がいます。分からない事は自分で調べるだけでなく、そういった様々な方からの情報収集がとても大切です。