<デンマークの概要と環境> デンマークは人口約540万人、国土面積が九州よりも小さく、500近い島から出来ている小さな国だ。四季はハッキリしていて、緯度は日本より高いが、近くを流れる暖流の影響で冬でも気温はあまり低温にはならない。 デンマークには山がほとんど無い。一番高い山でも海抜はたったの147mだ。平地や緩やかな丘が広がり、北海道の十勝平野を軽く波打たせたようなイメージが近いと思う。地震はほとんど起こらない。雨が少なく、湿度も高くないため過ごしやすい気候だった。風の強い日が多い。
日本との時差は-8時間だが、サマータイム制を導入しているため、夏場は-7時間となる。夏は明るい時間が長い。白夜にはならないが、夜11時頃まで昼間のように外が明るく、その後薄暗くなった空が、夜中2時頃から再び明るくなってくる。逆に冬は暗い時間が長くなる。 デンマークの公用語はデンマーク語だが、多くの人が英語も話すことが出来る。デンマーク語は英語とドイツ語に共通する部分が多く、英語とドイツ語それぞれに似た単語が混じって使われているという印象だった。 <デンマーク人> 私の出会ったデンマーク人達は親切で明るくユーモアがあり、気さくで親しみやすい人達だった。デンマーク人は年齢の上下が関係なく、親しい仲同士ではお互いに名前で呼び合う。日本人なら年下が年上の人を呼ぶ時「~さん」と呼ぶが、デンマークでは「さん」付けで呼ぶことは少ないそうだ。私がオーナーを呼ぶ時も名前で呼んで良いと言われた。 デンマーク人はオランダについで、世界で2番目に平均身長の高い国で、私の周りの人でもやはり身長の高い人が多かった。そのため台所や机、シャワーやトイレの便座なども日本のものより高く設計されており、身長があまり高くない私には高すぎると感じる場所がいくつかあった。しかし食卓のライトは私でも頭がぶつかることがあるくらい低い位置に吊るしてあり、さらにその明るさは全体的に暗かったため研修開始当初は違和感があったが、その環境に慣れてくるとデンマーク人とは全体を照らさず影の部分も楽しむという心のゆとりを持っている人達なのだと理解するようになった。またキャンドルも日常生活では欠かせないもので、クリスマスや食事会などの行事があるときはもちろん、普段の夕食時にもキャンドルに火を灯してその優しい明るさを楽しんでいるようだった。 多くのデンマーク人は花が大好きで、どの家を訪問しても家の中には花が飾られていた。さらに国旗も大好きで、家族の誕生日の時には庭にあるポールに国旗を掲げたりメッセージカードに国旗のシールを貼ったりし、祝い事や行事がある時にもたくさん飾られていた。 デンマーク人の休日の過ごし方はのんびりしている。天気の良い日は庭で日光浴をしたり、ガーデニングや庭の手入れをしたりとゆったり過ごしていた。また、部屋の改装もよく行っており、何でも自分達でやってしまうという印象だった。 <食生活>
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食事は家で作って食べるのが基本で、外食はほとんどしない。食生活については、食事内容の順番が各家庭によって異なるそうだが、私のホストファミリーの場合は、朝は白パン(小麦パン)にジャムやチーズを乗せて、昼は黒パン(ライ麦パン)に様々な種類の具を乗せて食べ、夜はジャガイモと肉中心の温かい料理が出された。デンマーク人の中にはやはり肥満を気にしている人が多く、普段飲む牛乳はたいてい低脂肪乳だ。ホストファミリーは脂肪分0.5%の低脂肪乳をよく飲んでいた。デンマークの低脂肪乳は低脂肪でも甘みが感じられ、ほのかに草の香りもしてとても美味しかった。デンマークの牛乳や乳製品(特にチーズ)は種類が豊富で、様々な味の製品が売られていた。 デンマークの多くのお菓子の中には「ラクリス」と呼ばれる、漢方の一種であるカンゾウのエキスを抽出したものが含まれていた。日本人の私には少し苦手に感じられた味だったがデンマーク人はみんな大好きだった。デンマークに行ったら、ぜひ試してもらいたい。
<デンマークの休日と買物> 一般的に土・日曜日、たいていのお店は閉まっている。例外として、大きな街の鉄道駅内のお店や大きなショッピングセンターは開いていたりするが、開いてないお店の方が多いため、買い物はできるだけ平日の空いた時間にするように心掛けた方が良いだろう。これは宗教が関係していて、週末に教会でお祈りをするためだそうだ。 ちなみにデンマークの通貨単位はDKK(デンマーククローネ)で、普段はkr(クローネ)で表示されている。(1kr = 約20円)
<各種手続き>
デンマークでの生活が始まると、最初に近くにあるコミュニティーセンターへ行き住民登録をする。住民登録が完了すると、数日後に自分の番号と名前、住所が記載された黄色いカードがもらえる。デンマークで身分を証明する時はこのカードが必要なのでいつも携帯しておく必要がある。
研修生には、毎月研修手当が支給される。その時、お金の管理が簡単でオーナー側にも都合が良いということから、私の場合は銀行に口座を作り自分の口座に振り込んでもらった。デンマーク内にある銀行の中では「Dansk Bank」や「BG Bank」などがデンマーク国内どこにでもあり、ATMもたくさん設置されているそうなのでお勧めだ。また、帰国時に口座を解約する際、自分の口座の残額を簡単な手続きをするだけでそのまま日本の自分の口座に転送してもらえるので、お金を移す手段としては一番安全で確実な方法だと思う。
<デンマーク鉄道の利用> デンマーク国内では鉄道がかなり発達している。(デンマーク国鉄:DSB)研修生は移動する時の交通手段として、列車を利用することが一番多いのではないかと思う。そこで、「ワイルドカード」をぜひお勧めしたい。このカードを持っていれば、通常料金の半額で乗ることが出来る(一部区間を除く)。手続きは大きな駅の窓口で、指定の紙に必要事項を記入し175krを支払えば作ることが出来る。ただし、デンマークでは列車が遅れることは珍しくない。5分、10分遅れるのは普通で、時には30分~1時間以上遅れる事もある。そのため乗り換えをする時は、乗り換え時間に余裕があるように時間設定をする必要がある。
<クリスマス> デンマーク人の宗教はキリスト教で、一年で一番大きい行事は12月のクリスマスだ。12月になる前から町や各家々ではクリスマスの雰囲気が漂い、12月になると、毎週末は親戚宅に呼ばれたり、自宅に親戚を招いたりして食事会が行われた。また、子供達には伝説の小人から毎日お菓子や小さなプレゼントが届けられた。クリスマスイヴの夜には家族・親戚が集まり、食事をした後クリスマスツリーの周りで歌って踊って、クリスマスプレゼントの交換が行われ、とても賑やかで楽しい時間を過ごした。
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