何ごとも夫婦で相談、大切に 🧅たまねぎ 🌾小麦
夫婦二人三脚で日本一のたまねぎ産地の北見市で新規就農したHさん、Kさんを紹介します!
[Hさん(39歳)、Kさん(39歳) 平成31年2月就農]
取材:令和4年7月6日 KI記、協力:北見市)
地域の概要
北見市は北海道の東部に位置し、農林水産業を基盤に発展したオホーツク圏最大の中核都市です。人口約111,700人。平成18年に北見市・端野町・常呂町・留辺蘂町との合併を経て現在に至ります。
北見市(常呂町区域を除く)、置戸町、訓子府町の1市2町で「JAきたみらい」として、たまねぎ、じゃがいもを中心に麦類、てん菜、豆類、水稲などの耕種作物に加え、生乳をはじめとする畜産物が生産されています。なかでも日本一の生産量を誇るたまねぎは、全国のたまねぎの約2割を生産。8月から翌年4月下旬までの長い間、全国各地へ出荷されています。日照時間が長くて降水量が少なく、気温の寒暖差が大きいため、病害虫の発生も少なく、良質でクリーンな産地形成がされています。
動機から就農まで
津別町の合板製造会社で働いていたHさんは、子供と過ごす時間を増やしたい、大切にしたい、家族一緒にできる仕事をしたいと考え、新規就農を決意しました。その決断には、夫婦で話し合って、すごく、すごく・・・悩みました。夫婦共に北見市出身。地元にて夫婦二人の労働で可能な面積、たまねぎ栽培での就農を目指すことに決めました。就農について調べているうちに、第三者農業経営継承事業を知り、農業公社に相談。その後、公社の継承希望者登録をして、ご縁あって北見市のA農家で平成29年2月から2年間の経営継承実践研修を経て、平成31年2月に就農しました。
就農してから
2年間の研修で親方から栽培から経営に関わるすべてのことを教わることは、困難なことです。私たちは農業経験が無くゼロからのスタート。就農1年目の玉ねぎの定植や管理作業は、手探り状態で大変苦労しました。農繁期、3人の子供たちの面倒をKさんの親がサポートしてくれ、助かっています。「何より地域の人たちが優しい方ばかりで、私たちの力になってくれています。地域の方々には感謝の気持ちでいっぱいです」と話すHさん。
実は今年の6月、たまねぎ畑が雹被害にあい、廃耕が決定するという辛い経験をしたばかりの時期の取材となりました。Hさんは、雪のある時期から大切に育ててきた作物を収穫することができずに被害にあい、来年経営ができるのか不安で、毎日、被害にあった畑を見ては涙が止まらなかったそうです。そんな中、地域や農協の方々が「大丈夫だ!」と元気づけてくれ、応援してくれ、「一人じゃないんだ!」と地域のつながりを強く実感したそうです。
Hさんは農業が大好きで一日中、たまねぎ畑など外にいるそうです。「頭の中はたまねぎのことばかりだものね。天職だと思いますよ」と妻のKさん。でも、少しは良い意味で手を抜くところも覚えないと歳を重ねていく中で身体がもたないのではと心配もしています。
「収穫時の達成感、やりがいがある農業。これからも健康第一に、二人でよく話して、納得して、着地点を見つけて、農業経営をすすめていきたい。そんな農業はとても楽しいと思います」と笑顔で話すお二人の姿が印象的でした。
経営概要
労働力 2人
面積11ha、たまねぎ、小麦
トラクター3台、小型トラクター2台、移植機、播種機、収穫機、ハウス4棟、倉庫2棟
就農支援制度の活用
農業次世代人材投資資金(準備型・経営開始型)
青年等就農資金
農地保有合理化事業
市、JA、新規就農者助成制度
経営のスタイル・目標
①夫婦でお互い相談して物事を決めるスタイルを大事にする
②「安定生産の継続」を基本目標にする
③新たな可能性にチャレンジする(クリーン栽培やGAP取得など)
後輩へのアドバイス
天候に左右される農業は決断力が大切です。悩んだときは専門の方や周りの人に納得するまで相談すると良いと思います。何よりも地域の方々から農業者と認めてもらえるよう努力し、良好な関係性をつくりあげていくことが農業者としての一歩になると思います。