※研修内容 ここはNZを代表する大規模な農場でした。じゃがいも、人参、玉ねぎ、柿の作付けをしていてほぼ全て機械による作業ばかりです。総面積は3000haあまり、プケコヘ以外にも2つの場所に支部がありそれぞれが大きな農場なのです。どの街のスーパーに行ってもウィルコックスの野菜を目にすることができ、その幅の広さには驚くばかりでした。 研修を始めた頃はじゃがいもの収穫真最中で、いきなりトラクター。しかも牽引。何がなんだかわからず無我夢中で運転を覚えました。作業内容はトレーラーを引っ張ったトラクターを運転しながら収穫機に横付けして、掘られてくるイモをトレーラーの上のビンに上手く入れていく、というものでした。
作業時間は朝7時にショップへ出勤。それから畑まで車で移動。遠い所では30分かかる場所まで行くこともよくあり、朝なので再び睡魔が襲ってきて道中爆睡。これがほとんど。たまに一緒に乗っていたインド人に寝るなと怒られます。でも寝てないと嘘をつく。また怒られる。やっぱり寝ちゃう。時にはワザと強くブレーキをかけて睡眠を妨害されるなんてこともありました。
この7時に出勤という時間はどんなに忙しくなってきても変わることはありませんでした。お昼を12時から30分間とって終わりは基本的に5時と決まっていました。昼の前と後に15分ずつの休憩もありました。基本的に5時が終わりとはなっていましたが、忙しくなってくると定時で上がれることは全くなく、6時、7時が当たり前になったこともありました。時にはもういいでしょ?帰らせてよ、と思う時間帯までやっていたこともありました。
私はかなりのなまけ者です。始めは朝7時なんて余裕だろうと思っていましたが、終わりが遅くなってくると早すぎでしょ!としか思えませんでした。加えて雨の日とか。朝から大雨だと7時に出勤してもすぐ仕事が始まることはめったになく、大体1時間近くオフィスでボケーっと過ごしていた、というか寝ていたことが多かったです。じゃあ8時出勤にしてくれ~とよく思いました。夏を目の前にした11月、12月は特に雨の日が多かったのを覚えています。しかもNZの夏は短く、1月を過ぎると日の出は一気に遅くなり、普段起きていた時間があっという間に真っ暗になっていました。
休みは週休2日がほとんどでした。忙しくなってくると週1日。休みが全くない週はありませんでした。その他にクリスマスには5連休、年末年始にも5連休がありました。
収穫の真最中に来たと言いましたが、配属されてからすぐトラクターに乗らせてもらっていたために最後までトラクタードライバーとして雇ってもらえました。ジャガイモの収穫から人参に変わり、最後の玉ねぎまでずっとトラクターの運転をさせてもらいました。この、毎日ひたすらトラクター作業というのも自分のなまけ癖を悪化させる原因になりました。辛いことは殆どなく、冷房の利いた中でラジオの好きな音楽を聴きながら運転。仕舞いには一人で歌い出す始末。疲れたのは肩や、首ぐらいでした。
難しかったのが玉ねぎです。じゃがいもとの収穫スピードが圧倒的に違うのです。しかも回転も速かった。満杯になったビンを降ろして来るまでに、少しのつまずきが大きな遅れとなってくるので焦りました。1台の収穫機にトラクター3台、時には4台ついた時もありましたが、間に合わないこともあったくらいです。一旦始まると最後まで常に追われている感じ。精神的にかなり疲れました。その速さについていけず、何度も玉ねぎを畑にバラまいてしまいよくインド人に怒られました。何故かボスではなく。
ボスは忙しい人だったので、一緒に働いたというのはほんの数回程度しかありません。毎日色んな場所へ行ったり、作業の工程を決めたり、打ち合わせ、連絡など他にやらなきゃならないことがたくさんあったのでしょう。朝オフィスで顔を合わせたらそれっきり一日中会わないこともよくありました。
大きな会社の形態になってしまったら、それはやむを得ないことかもしれません。ただ私にはボスと話す時間がないこと、一向に仲良くなれないことには寂しさを感じていました。会社のこと、この土地のこと、ボスのこと、昔はどうだったのか、そしてどうしてあそこまで大きくなったのか、大きくしなければならなかったのか。聞きたいこと話したいことはたくさんありました。でも結局、農場を去るまでボスとの距離は縮まりませんでした。
そこの生活に慣れてきた頃には、私のなまけ癖は次第にひどくなっていきました。体を動かし、汗を流しながら作業することが面倒くさく感じていたのです。よく雨が降った日や、その次の日はトラクターが畑に入れないので体を使った作業が多かったのですが、正直しんどい。やり出せば意欲が湧いてくるけれど、また次の日も同じ作業となると、いやでいやでたまりませんでした。自分でもまずいとわかっていても、まぁいいかと諦めてしまう。だって、すぐトラクターに乗れるんだもの。まぁそれで後で痛い目に合うのですが。
5か月という期間そこで研修をしていて、ウィルコックスの人間模様(畑で働く人たちだけですが)が見えてきていつも笑わせてもらいました。一人一人個性が強くてよくお互いが話しをしていましたが、それぞれ言っていることは自分中心でバラバラ。話し方、笑い方、行動の仕方、それぞれの立ち振る舞いどれをみても面白すぎでした。ただ、初めての人種だったので腹が立つこともよくあり、仲よくなれない人もいましたが。 |